施工期間
2018/03/13 〜 2018/03/13
説明あるところに雨樋がありました。
雨の日に八面六臂の活躍を見せる雨樋でしたが、皆はそのことを知りませんでした。
「意匠の邪魔だ!」と、建築家に虐められるので、できるだけ目立たないようにしていたからです。
雨樋には大事な仲間がいました。亜鉛メッキの雨樋金具です。
目立たない雨樋の活躍を、裏で支え続けてきた、かけがえの無い仲間です。
雨樋と雨樋金具は、来る日も来る日も、人知れず働きました。
そんな、雨樋と雨樋金具を心配してくれる人はいませんでした。
そしてとうとう、その時が来ました。
サビて脆くなった雨樋金具が折れたのです。
金具の支えを失って、傾いた雨樋からは雨水が流れ出しました。
まるで涙を流すかのように。
然して、皆は雨樋と雨樋金具の普段の活躍に気づくのでした。
そして私はこう思うのです。
「...雨樋金具、ステンレスにすればいいだけじゃん?」
前置きが必要以上に長くなりましたが、
今回紹介するのは、軒樋修理の事例です。
酒田市のI様より、軒樋を修理してほしいという依頼を受けました。
お宅にお邪魔し、問題の軒樋を拝見したところ、支えを失って中心部から折れ曲がっている状態にありました。
支持部である亜鉛メッキ製の金具がサビて劣化し、折れたのが原因でした。
折れ曲がった状態の雨樋をそのまま放置すると、頭上に落下してくる危険があります。
まずは、応急処置として、折れ曲がっている部分を切除し、リスクの芽を刈り取ります。
後日、天気の良い日を見計らい、残っている軒樋および金具を全て取り除きました。
軒樋は変形しているし、なにより残存部の金具にも錆とそれに伴う明らかな劣化が見られたためです。
そして、新たに金具を取り付けました。金具の材質はステンレスです。
軒樋部は、雨の日、雨水を浴びつづける運命にあります。
ましてや酒田市は臨海地域。
ガルバリウムならまだしも、亜鉛メッキでは役者不足です。
金具の取付時、念入りに金具の位置を調整し、水勾配を付け、新しい軒樋を乗せます。
漏斗から下は劣化致命的ではなかったため、今回は交換せず、経過をみることに...。
こうして、2時間ほどで作業は完了しました。
サビて心もとなかった亜鉛メッキの金具は、防錆性の高いステンレス製の金具にクラスチェンジしました。
軒樋自体も新しくなったことで建物のシルエットもなんだか引き締まって見えます。
なんだか、うれしい気分になりました。
I様、この度はお仕事させていただき、ありがとうございました。