酒田市 S社様工場大庇修理
春と梅雨(ばいう)と庇(ひさし)と雨と
施工期間
2018/03/05 〜 2018/03/06
説明傘地蔵でも逃げ出すレベルの猛烈な庄内の冬が行き過ぎ、草木芽吹く春がやってきました。
徐々に上昇する気温と、いまだ心地よい冷たさを保った風。うららかな陽気の中で感じる解放感。
心持ちとしては最高なのですが、梅雨という約束された絶望へのカウントダウンが始まっているという事実も忘れてはいけません。
梅雨の時期に重宝する建物の部位として、庇(ひさし)が挙げられます。
雨を防ぐ庇が無い窓だと、ろくに換気すらできません。
庇(ひさし)は、その役割がゆえに建物外装の中でも、劣化が早い部分と言えます。
劣化を放っておくと、歪みや崩れによって、外壁取り合い部に隙間が生じ雨が侵入する等良い結果にはなりません。
よって、劣化が見られる場合は、何かしらの処置が必要になります。
今回は、長年にわたりその身を盾にして雨から工場の出入り口を守った、S社様の大庇修理を施工事例として紹介いたします。
S社様工場の大庇を最初に拝見した時、庇の先の木が水を吸って柔らかくなっているように見えました。
柔らかくなった木は本来交換するべきですが、庇の場合、根元から木を組みなおす必要があり、容易ではありません。
柔らかくなった部分は取り払いたいというS社様のご希望で、
まずはS社様のお知り合いの大工さんに既存の庇を切断してもらいました。
切断後、庇修理が始まります。
具体的な修理の内容は、既存の庇より出が一回り小さい庇(眉庇)の取り付けです。
まずは、庇を切断した際に残った鋼板をはぎ取っていきます。
鋼板をはぎ取ると、庇の切断面は空洞になっていました。
次に、空洞部にコンパネを渡して鋼板を包む上での下地を作ります。
鋼板での包みが完成した状態を頭の中に描きながら組んでいきます。
下地が組み終わったら、次はアスファルトルーフィングで下葺きをしていきます。
鋼板で包む際にも隙間にコーキングを充填し、雨仕舞を良くしますが、保険としてアスファルトルーフィングで下葺きをしておけば、よほどのことが無い限り雨が木部に浸透することはありません。
下葺きが完了したら、いよいよ次はガルバリウム鋼板で施工部を包んでいきます。
カラーは既存の庇の色に近い、コゲチャ色を選びました。
仕上げの作業なので、できるだけ見栄えが良くなるよう、形の崩れを生まないよう、慎重に包んでいきました。
修理した庇は既存よりも出が短く、コンパクトになり、その色合いも相まって工場全体がシャープに見えます。
いつもは憂鬱な雨の日ですが、この工事の後は、なんだか少し待ち遠しいと思うようになりました。
S社様、この度は庇の修理をさせていただきありがとうございました!