酒田市M様宅屋根外壁工事

田園を臨む和モダン住宅
施工期間
2018/10/01 〜 2018/11/20
施工種別
板金施工
説明拝啓。晴れ間が恋しい秋空の砌、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
庄内は酒田の板金屋は、『早まる夜の訪れ』そして『濃くなりゆく降雪の気配』とのぶつかり稽古のような日々を過ごしております。

そんな時節に行った、M様宅の屋根・外壁工事の事例をご紹介いたします。

築40年であるM様宅の屋根はコロニアル葺き、外壁はモルタル仕上げでした。

この、コロニアル屋根のSGL鋼板横葺きへの葺き替え、そしてモルタル外壁の金属系サイディングによる重ね張りが今回の工事の主眼です。

まずは、屋根の葺き替え工事。

葺き替えは、往々にして進行管理が煩雑です。
『既存屋根の剥ぎ取り』『下葺き』『屋根葺き』の順でざっくりと工程分けができますが、この内、『下葺き』までは雨が降るまでに終わらせなければいけません。
理由は単純で、下葺きまで終えないと、水の浸入を防ぐ術が無いからです。
今回は、その上、下地の補修処理という工程も発生する可能性があったため、『雨が降らないまとまった期間』が必要でした。
曇り空が多いと同時に、年末に向けての掻き入れ時でもあるこの季節柄、まさに『週間天気予報』『他の仕事』『進行担当者』の三竦み。

また、今回は葺かれていたのが、40年物のコロニアルという点も見逃せません。
この年代のコロニアルにはほぼ間違いなくアスベストが使用されています。
そのため、剥ぎ取りの際に、防塵マスクや防塵スーツの着用、コロニアルの湿潤処理、専門の廃棄業者への廃棄依頼など、神経を使う施工となりました。

運と精神力が求められた屋根工事をなんとか無事終え、次は外壁の重ね張り工事と向き合います。

実は、今回の外壁工事に際し、既存外壁解体の上新規の外壁材を張るという選択肢も検討していました。
ただし、既存の外壁がモルタルであり、この素材の剛性を前提に建物の躯体強度が見積られている可能性がある、という知り合いの大工さんのセカンドオピニオンを踏まえ、重ね張り工法にて施工を行うことになった次第。

まずは木下地の取付です。
縦張り施工となるため、下地となる木胴縁を地面と平行に455mm間隔で取り付けていきます。

木下地の取付が終わると、その上に金属系のサイディングを張っていきます。
リフォームの場合、この作業は技術力に加えて計算力と記憶力が求められます。
建物に、経年による歪みが生じており、その部分的な傾きや曲りを逐一はかり、頭に入れながらの作業になるからです。
仮に、何も考えずに、新築工事のようにサイディングを切り張りしていった場合、サッシ等との取合い部分が納まらなかったり、逆に不格好な隙が生じてしまいます。
数値をぶつぶつとつぶやきながら、焦らず慎重に作業を進めました。

工事期間中、2度に渡る台風に見舞われ行程遅れが発生するなど、胃が痛くなるような場面もありましたが、それでも職人一同の頑張り、そして何より施主のM様の寛大さに助けられ、何とか降雪前に工事を終えることが出来ました。

M様宅の生まれ変わったモスグリーンのSGL鋼板屋根、そしてミルクホワイトの金属系サイディングが、稲刈り後のハクチョウが散見される田園風景に調和して、美しく映えております。
他の季節には、M様宅がどのような表情を見せてくれるのか、今からとても楽しみです。

M様、この度は施工をさせていただきありがとうございました。