【庄内地域向け記事】外壁塗装の下塗りって?使うべき材料は?

【庄内地域向け記事】外壁塗装の下塗りって?使うべき材料は?

外壁塗装関連の情報がネットに溢れている昨今、庄内地域でも、ご自身で塗料について調査されるお客さんが急増中です。このこと自体は嬉しいのですが、ネットの塗料関連の情報が『上塗材』に偏っているせいか、『下塗材』を気にされない方が多いのが気がかりです。下塗材は、庄内地域(酒田市・鶴岡市・庄内町・三川町・遊佐町)のような気候下で外壁塗装をする場合、上塗材よりも重要です。そんな下塗材についての説明と、状況に応じた使い分けについて記事にしてみました。

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この記事の目次

そもそも下塗りってなに?

下塗りとは、「外壁と新しく塗る上塗材の間を取り持つ材料を塗る工程」のことです。

上塗りの前に下塗りをすることで、以下のような効果が期待できます。
・外壁面の凹凸をならす
・上塗材の吸込みを抑えて色ムラを防止する
・既存の外壁面の色を隠して上塗り材の発色を助ける
・外壁面と上塗り材の密着を強くする
お化粧で例えるなら「ベースメイク」にあたる工程というわけですね。
(男性にはチンプンカンプンですよね…すみません。)
クリヤー系塗料で上塗りするケースなどの一部の例外を除き、下塗りの恩恵無しに上塗りをかけた場合、外壁塗装は絶対に失敗します。それくらい、下塗りという工程は大事です。
【余談】
よくホームセンターで『下塗り不要・高機能』を謳った謎のスーパー塗料が売られていますが、塗装業者はあれを『地雷』と見做しています。
下塗りの機能と、上塗りの機能を併せ持っていて、かつ安いなんて、そんな都合の良い塗料は到底無いです。もしそんな夢のような塗料があれば全塗装業者がこぞって使うはずですよね。

下塗り材の種類

一口に外壁の下塗り材と言っても、実は複数の種類があります。

それぞれ、使用される目的が異なるため、混同してしまわないように簡単に説明していきますね。

シーラー

シーラー(sealer)は日本語に直すと『密閉するもの』を指し示す言葉になります。その名の通り、既存の外壁材を『密閉』し上塗材が下地に吸引されるのを防ぐとともに、両者の密着性を高める効果があります。主に、窯業系のサイディングや、軒天等に使われているケイ酸カルシウム板等に使用します。

プライマー

プライマー(primer)は、シーラーと混同されがちですが、厳密には下地と上塗材の密着性の向上を主な目的として用いられる下塗材を指します。鉄板や金属系サイディング、塩ビなど、塗装対象の下地が上塗材を吸い込む性質を持っていないケースで主に用いられます。よく鉄部の見積りに登場する『サビ止め』もプライマーの一種です。

フィラー

フィラー(filler)は日本語でいうと『満たすもの』、『埋めるもの』にあたる言葉です。塗装対象の外壁にひび割れ(クラック)が発生している場合や、劣化による凸凹を平滑にするために用いられる厚塗り用下塗材です。劣化が激しいコンクリートやモルタル外壁の塗装をする時にチョイスされることが多いです。
フィラーの中には、ゴムのように伸び縮みするように設計されているものがあり、伸縮度合いが高いものは『弾性フィラー』、その度合いが抑えられているのは『微弾性フィラー』とカテゴライズされています。

弾性フィラーは伸びるので、外壁に入った細かいクラックを覆い隠し、外部からの水の浸入を防ぎます。ただし、透湿性が良くないため、外壁に含まれた水分が熱で気化したり、冷気で凍結したりすると内側から膨らんで見栄えが悪くなりやすいことや、上塗りに使用する材料も弾性塗料を用いなければならないという縛りが発生するため、近年は弾性フィラーの代わりに微弾性フィラーが用いられるケースが多いです。

『微弾性フィラー』は、弾性フィラーほどではありませんが、適度に伸縮するため、1mm程度のヘアクラックであれば覆い隠せますし、かつ大きく膨れることにはなりません。また、上塗りの際の非弾性塗料の使用も問題なく行えるため、塗料選択の自由度が上がります。弊社では、微弾性フィラーを使用するケースの方が圧倒的に多いです。
また、『○○サーフェサー』や『サーフ○○』という名称で、下地と上塗り材の密着促進効果や下地面補修効果などの下塗材の性能と、上塗りの滑らかさや光沢の強調性能を兼ね備えた塗料が販売されていて、これらはサーフェサー(surfacer)に分類されています。

ただし、外壁塗装の下塗材として見た場合、分類としてはフィラーの一種と考えていただくのが実態に即していると思います。

庄内地域の気候とありがちな外壁の問題

近年の建物の外壁は、その多くがサイディングと呼ばれる類のものになります。

サイディングとは、言ってみればパネル状のボードで、金属でできたもの(金属系サイディング)や、セメントが主な成分になっているもの(窯業系サイディング)等があります。

庄内の気候的・地理的条件は、そういった、外壁材の主流であるサイディングにとって過酷なものであると言わざるを得ません。

どのように過酷なのか、発生しがちが問題・被害と絡めて説明していきますね。

庄内地域の気候VS窯業系サイディング

庄内地域の気候は、建物の外壁に容赦がありません。

格好の餌食となるのは、決まって窯業系サイディングです。

その時代ごとの最新技術が注ぎ込まれた外壁材であるはずなのに、庄内地域の気候に一方的な暴力を浴びせられ、蹂躙されてきました。

冬場に地面から吹き上がる地吹雪はとりわけ凶悪で、窯業系サイディングの壁面にまとわりついて凍結と融解を繰り返すことで、メーカーが丁寧に施した様々なコーティングを、あっという間に亡き者にしてしまいます。建物の西面もしくは吹きっさらしの面で、被害が大きい傾向があります。

主な問題は、『凍害』とよばれる現象です。

コーティングを失った表面、もしくはコーティングされていない端部から水分が浸透し、冷気で凍結、内部から膨張することで、サイディングが破壊されて、広い範囲で大小の凸凹を発生させます。

庄内地域の気候VS金属系サイディング

庄内地域の中でも酒田市と鶴岡市は、海に面しているエリアが多くあります。

そういったエリアでは、海から来る潮風が、鉄のサビを極端に早めます。ひと昔前の材料であるトタン(亜鉛メッキ鋼板)だと、数年しないうちにサビが出てきて、10年経つころにはサビの塊になってしまいます。

しかし、近年の金属系サイディングはガルバリウム鋼板できていて、その多くはフッ素コーティングが施されているため、意外と問題が起きにくいです。

金属系サイディングに使用される鋼板がスーパーガルバリウム鋼板(ガルバリウム鋼板の後継鋼板で理論上寿命が3倍長い)に置き換わっていくため、今後はよりいっそう長持ちするようになっていくと思われます。

ただし、局所的なサビはどうしても発生しがちで、特に、カット時の断面からダメージを受けていく傾向があります。そして、サビはサビを呼ぶため放置すと、どんどんと影響範囲がおおきくなり、手が付けられなくなります。

下塗りにこだわって問題に対処する

外壁の状態があまりにもひどい状況下では、板金職人の手を借りて、部分的な張替えや、部分的なあて板(ガルバリウム鋼板での継ぎ接ぎ処理)を行ってから、塗装をしなければいけません。

けれども、若干の破損であれば塗装だけで対処できる可能性があります。

その場合、なにも考えずに問題が発生している部分に塗装をかけると、その問題の悪化を招くことになりかねないため、慎重な作業が求められると同時に、なによりも下塗りにこだわる必要性がでてきます。

塗り方にこだわる

同じ建物でも、面や部分ごとに外壁材が受けるダメージは変わるため、当然ながら抱える問題の深刻度もかわってきます。

であるにも関わらず、建物全体に対し、同じように下塗りをしてしまうと、劣化の進行具合にどんどんと差が出てきます。上塗材を面や部分で変えてしまうと、色つや等の違いで全体の見ためのバランスが崩れるので、下塗材を使用する方法にこだわりましょう。

塗装面や部分で異なる下塗材を使い分ける、同じ下塗材でも、通常1回塗りをするところを、特定の面や箇所では2回塗る、また異なる下塗り材と組み合わせるなど、様々な工夫ができるため、見積もりを依頼の際、担当業者に一番適切な手段が何かを相談してみましょう。

下塗材にこだわる

先ほど紹介したように、下塗材にはいくつかの種類があります。

上塗り材にこだわるお客さんは多いですが、下塗り材にこだわるお客さんは少ないため、見積り業者や塗装業者は、いつも使用しているからというだけの理由で下塗材の種類を決めがちです。

見積りを提出してもらう際に、その種類の下塗材を使用する理由はきっちり説明してもらうべきでしょう。

今、自分の所有する建物が抱えている外壁の問題はなんなのか、どうしてその種類の下塗材がその問題の解決に有効なのか、ためらわず納得するまで聞いてみましょう。

そして、その説明に納得がいかない場合は、別の業者にも見積もりを依頼して、同じ質問をぶつけてみましょう。

手間がかかって面倒くさいとは思いますが、それくらい下塗材にはこだわるべきだと思います。

私たちが良いと思った下塗材紹介

庄内地域(酒田市、鶴岡市、三川町、庄内町、遊佐町)の外壁に対して私たちが使ってみて、その外壁が抱える問題の解決につながったと感じた下塗材を一部紹介していきます。

もちろん、すべての地域で、もしくは全ての気候条件下においてこれら塗料を使うべきとは思いませんし、外壁材の状態や種類によっては別の下塗材をおすすめする場合も当然あります。そのことは、予めご承知おき下さい。

シーラー編

・マイティー万能エポシーラー(大日本塗料)
万能というだけあって、このシーラーだけで、様々な対象を下塗りできます。
ですが、その万能さを抜きにし、シーラーとしての下地密閉力や下地・上塗材間の密着性だけを見た場合でも、他のシーラーの一つ上を行く信頼感があります。
とりわけ、窯業系サイディングの塗装時の下塗りに使用すると、下地をかなりガッチリと密閉してくれるため、ちょっとした凍害であればこの下塗り材で難なく対応できてしまいます。
万能という点がクローズアップされてしまい、シーラーとしての性能はそこそこなんじゃないの?と思われがちで、かなり損をしているシーラーのような気がします。
・アレスダイナミックシーラー(関西ペイント)
関西ペイントが、割と最近発売したシーラーになります。

ちょっとお高いのですが、塗装業界の展示会で特別価格になっていたものを買ってみて、問題が発生している外壁に対し使用してみたところ、値段に見合った働きをしてくれるシーラーだなと思わせる商品でした。

いくつか特徴があるのですが、問題を抱える外壁への下塗材として見た場合、特筆すべきは『下地に浸透すると同時に塗膜を作る』という点です。

一般的に、シーラーには表面に塗膜を張って既存下地を密閉する機能が期待されています。しかし、中にはコーティングが剥れた状態の窯業系サイディングのように、シーラー自体を吸い込んでしまいやすい塗装対象も存在しています。アレスダイナミックシーラーを使えば、自らを吸い込ませた上で、表面に塗膜を作ってくれるため、そのような吸込みの激しい塗装対象の下塗りにもってこいです。

ただし、気に入らない点もあって、それはシーラー自体の色が、薄黒いクリアー色なので、上塗りをかけるまで外壁が薄汚れて見えてしまうことです。改良を望みます。

プライマー編

プライマーについては、特におすすめがあるわけではなく、塗装対象に応じての使い分けが基本となります。もしも今後、これは!という材料が出てきた場合は追記していきます。

フィラー編

・マイルドSDサーフエポプレミアム(エスケー化研)
マイルドSDサーフエポプレミアムは劣化がかなり進んでいて、ギリギリ塗装でなんとかなるかな…という状態の窯業系サイディングに対して使用することが多いです。特に、広範囲にわたって凍害の凸凹が発生している場合は、シーラーでは役者不足のため、この下塗材を使用することになります。

正直に言うと、下塗材としてはお高めですし、塗り易い塗料ではないので使うのは億劫なのですが、それでもなお性能が高いので使わざるを得ません。それくらい良い下塗材です。

最後に

今回の記事で伝えたかったこと。

それは、

庄内のような気象条件下にある地域で外壁塗装をする際は、下塗りが肝だよ!
もっと下塗りに注目して!
ということです。
忙しい中、外壁塗装をしようと思って、ネットで塗装について調べて、業者を呼んで、建物を見せて、見積もりしてもらって、どんな色で塗るかを決めて、お金を準備して…といろいろ忙しい中で、下塗りにまで気をかけていられるか!業者の仕事だろ!よしなにやれよ!と思われるかもしれません。

けれども、最後のひと踏ん張りをして、下塗りと向き合ってみてください。

そうすれば、外壁塗装で納得の行く結果が得られるはずです!

最後になりますが、皆様の外壁塗装に幸あらんことを!