外壁塗装はシリコンが良いの?フッ素?無機?

外壁塗装はシリコンが良いの?フッ素?無機?

アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機様々な樹脂タイプの塗料のうち、外壁塗装に最も適しているのは何かという問いに、一業者としての回答を提示します。

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この記事の目次

巷に溢れる記事は外壁塗装に最適な樹脂タイプを断定していない

ネット上には外壁塗装の際に用いる塗料の樹脂タイプについて大量の記事がありますが、その内容はおしなべて下記の通りです。
塗膜の耐用年数は、無機、フッ素、シリコン、ウレタン、アクリルの順に良く、価格はアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機の順に安い。
つまり『塗膜の耐用年数』と『費用』は樹脂タイプにより反比例する。
この情報自体は有益なのですが、実際どの樹脂タイプが一番外壁塗装に適しているかという点についてまで踏み込んでいる記事はほぼ無いため、咀嚼が難しい印象があります。
そこで本記事では、この『最も外壁塗装に適している樹脂タイプは何か』という問いについて、一業者としての回答を提示してみようと思います。

最も外壁塗装に適している樹脂タイプはシリコン

前提条件を先に述べておきましょう。
今回、外壁塗装という言葉を用いた場合、現在外壁材として主流である窯業系ないしは金属系のサイディングの塗装だと思ってください。
また、そのサイディングは既存の塗膜がチョーキングを起こし始めた状態、つまり既存塗膜の親水機能や光触媒機能が無効化された状態だと仮定してください。
こういった、多くの一般の住宅に当てはまりそうな条件下において、外壁塗装に最も適しているのは間違いなくシリコンです。

外壁塗装に最適なのはシリコン樹脂塗料である理由

では、なぜ外壁塗装に最適な樹脂タイプがシリコンなのか、という点について解説していきましょう。

シーリングの寿命とつり合いが取れている

シーリング(または、コーキング)は、サッシの周りや、外壁の目地部分に充填されるゲル状の材料で、硬化するとゴムのように伸び縮み、内部への水の侵入を阻みます。
シーリングの寿命は7年から10年程度と言われています。これを過ぎるとシーリングが徐々に縮み、サッシの周りや目地に隙間が生まれて、そこから水がしみ込んで内部に漏れるなどのトラブルが発生します。
シーリング交換の写真
シーリング交換の写真
そういったトラブルを未然に防ぐため、通常は外壁塗装の際にシーリングも交換します。(シーリングが劣化したままだと高圧洗浄もままならないですしね。)
一方、シリコン樹脂系塗料の塗膜の耐用年数も、シビアに見て7年から10年程度です。
そのため、シリコン樹脂系塗料を使って外壁を塗装すれば、シーリングとおおよそ同じサイクルで、外壁状態の刷新が可能となります。
各樹脂タイプ塗料とシーリング材の耐用年数
各樹脂タイプ塗料とシーリング材の耐用年数
シリコン樹脂系塗料よりも一般的にグレードが低いとされるアクリルおよびウレタン樹脂系塗料を用いると、シーリングの寿命の方が長くなってしまい、逆にシリコン樹脂系塗料よりもグレードが高いとされるフッ素および無機系樹脂塗料を使用した場合は、外壁の塗膜寿命がシーリングの寿命よりもだいぶ長くなってしまいます。
もちろん、外壁塗装とシーリングを別で行うこともできますが、足場分の費用をその都度負担することになるため、シーリングの存在を踏まえた上で、もっとも樹脂のパフォーマンスを生かしきることができ、かつ工事費用を必要最低限に抑えることができるのはシリコン樹脂系塗料による外壁塗装だと言えるでしょう。

フッ素や無機での塗装は次回使用の樹脂タイプを制限する

フッ素や無機といった樹脂タイプの強みは、その高い防汚性能です。
フッ素の場合は、撥水性、つまり水分を弾く性質により、汚れが付着しにくくなっています。逆に、無機塗料の場合は、親水性、つまり水が流れ落ちやすい性質により、汚れを洗い流します。
撥水性と親水性
撥水性と親水性
平素には有益といえるこれらの性能ですが、外壁を再塗装する際には下記のような問題を引き起こします。
再塗装に使用する塗料が別の樹脂タイプの場合ちゃんと付着しない。
既存の塗膜が劣化して、その効力を失っていると判断できる場合には問題となりませんが、まだツヤがあり塗膜が健康な状態だと、フッ素の上にはフッ素、無機系塗料の上には無機系塗料というように、同じタイプの塗料を塗り重ねることが賢明な判断となります。
もちろん、専用の下塗り材を使用すれば、フッ素や無機系の塗料の上からでも、(例えば)シリコンを塗装できたりするのですが、塗りムラや細かい部分の取りこぼしがあったときのことを考えるとちょっと怖いですよね。

シリコン樹脂系塗料はすでに評価が確定している

シリコン樹脂系塗料の価格が落ち、使用しやすくなった時期は、2000年代後半から2010年代前半と言われています。
つまるところ、シリコン樹脂系塗料が広く使われ始めてから10年前後が経過しているということ、そしてその実験室外における性能が概ね期待通りであると大方確定しているということです。
一方、フッ素樹脂系や無機系の塗料は、市場で一般的になり、実際に現場で本格的に使用され始めてからまだその理論上の耐用年数以上の時間が経過しておらず、したがってその性能が期待通りのものであるか、もしくは期待しているよりも大したことがないのかがはっきりしていません。
そして弊社は一塗装業者として、素晴らしい"かもしれない"高額の塗料よりも、"間違いのない"そこそこの値段の塗料をお客さんに勧めたいと思っています。

シリコン樹脂が外壁塗装において最強である理由まとめ

ここまでシリコン樹脂系塗料が、他の樹脂タイプの塗料よりも外壁塗装の使用材として適している理由を説明してきました。
この理由として以下の3点が挙げられます。

シリコン系樹脂塗料とシーリング材は、その寿命においてつり合いが取れている

シリコン系樹脂塗料を使用しても次回の塗装時の樹脂タイプが制限されない

シリコン樹脂系塗料は現場使用による経年での効果測定が済んでいる

余談ですが、弊社としては、一番目のシーリング材と寿命のつり合いが取れているということが、最重要だと思っています。

最後に

今回の記事では、外壁塗装における最強の塗料樹脂タイプはシリコンであること、そしてそう判断できる理由を紹介してきました。
ただし、その外壁の材質や状態やお客さんの求めに応じて、塗料の樹脂タイプを選択・決定していく必要があることは確かであり、そういった意味ではこの記事もまた単なる判断材料の一つとして扱うべきであると思います。
最後になりますが、ここまで本記事をお読みいただきありがとうございました。

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