代表的な7つの屋根の形のメリットとデメリット【新築・増築時の参考に】

代表的な7つの屋根の形のメリットとデメリット【新築・増築時の参考に】

屋根には多くの形があります。だからこそ、新築、増築の時に屋根の形状について迷われる方も多いと思います。でもご安心ください。実は屋根の形は、これからご紹介する7つの代表的な屋根形状の組み合わせである場合がほとんどです。それぞれの形状ごとのメリット、デメリットも合わせて説明いたしますので、ご参考までにご覧ください。あなたにとって最高の屋根が見つかりますように。

最終更新日
27 views

この記事の目次

屋根の形の重要性

新築・増築時、屋根形状について深く考える方はあまり多く無いと思います。設計事務所やハウスメーカーと屋根に関する話をする際も、用いる屋根材や、デザイン性が取り沙汰されがちで、屋根形状を本筋として取り上げるケースはまれです。然しながら、屋根形状はその屋根の下に住まう人々の生活に大きな影響をもたらす『外装の最重要項目』と言っても過言ではありません。

以下では、屋根の形状と、それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。
これから挙げるのは代表的な屋根の形状7種類で、多くの一般的な住宅では、これらの形状を組み合わせて屋根が構築されます。

切妻屋根(きりづまやね)

切妻屋根のイラスト
切妻屋根のイラスト
現代の日本家屋の屋根形状で最もオーソドックスなものが、この切妻屋根です。
長方形が2つあって、それぞれの長い一辺同士がくっついている形となっています。

切妻屋根は、古来より日本において多くの建物で採用され続けてきた、最もメリットの多い屋根の一つであると言えます。ただし、デメリットも存在しているので併せてご説明いたします。

切妻屋根のメリット

切妻屋根の一番大きいメリットは、屋根の面と面の境目が他の屋根形状よりも少ないことです。
この屋根の面と面の境目は棟(むね)と呼ばれていて、構造上、屋根材が分断されるが故に雨が入り込みやすい部分となっています。それが他の屋根よりも少なくて済むのですから、当然雨漏りのリスクも同様に少なくなると言えます。
切妻屋根のもう一つのメリットは経済性です。
棟に一本太い棟木(むなぎ)という木が渡され、その棟木に対して垂直に垂木(たるき)という屋根の面を支える木が複数掛けられて、その垂木を、棟木と平行に敷かれた母屋(もや)という木部で支える、という構造の素直さが故に、使用する材料が他の屋根形状に比べ少なく、その分コスト的にも安く上がる場合が多いです。
加えて、切妻屋根は換気能力に優れています。
高い位置にある棟と居住空間の間にスペースが確保しやすい上に、垂木と棟木が垂直に交わることで空気の流れを遮らない構造になっているため、内部結露が発生しにくいです。内部結露は屋内木部の腐食・凍害破損や鉄部のサビといった問題の温床であるため、これを防げるということは建物を長く維持していく上で大きなアドバンテージであると言えます。
言及に値するメリットがもう一点あります。それは太陽光パネルの乗せやすさです。
切妻屋根は、一面の面積が広く取れるため、「太陽光発電をせねば!」という衝動・発作に駆られた時に、設置面不足という難題にぶち当たらなくて済みます。

切妻屋根のデメリット

切妻屋根の一つ目のデメリットは、見た目がオーソドックスという点です。
家の新築や増築は人生における大きなイベントの一つであるため、見た目にもこだわりたいと考えている方がほとんどだと思います。切妻の屋根は町中を見渡した時に、最もありふれている形状の一つであるが故、面白みに欠けると感じる方が多いようです。
もう一つのデメリットは、妻(つま)と呼ばれる、棟を頂点とした三角形のある側面の外壁が痛みやすいという点です。
なぜ妻側の外壁が痛みやすいのかというと、本を開いて伏せたような切妻屋根の構造上、雨風や紫外線を遮る屋根の出を確保しにくいことが背景にあります。切妻屋根を採用する場合、屋根自体の維持コストが安く上がっても、外壁のメンテナンス費用がかさむのでは具合が悪いので、建物の立地条件や風向き、日当たりなどを考慮に入れて、妻側をどの方角に向けるべきか総合的に判断する必要があると言えます。

寄棟屋根(よせむねやね)

日本の家屋で、切妻屋根の次にポピュラーなのが、寄棟屋根です。寄棟造(よせむねづくり)と呼ばれたりもします。
形状的には、切妻屋根の棟部分が短くなり、妻側にも屋根面がついた感じです。

特性的には、切妻屋根の持つメリットとデメリットが逆転するイメージです。
以下で詳しく説明させていただきます。
寄棟屋根のイラスト
寄棟屋根のイラスト

寄棟屋根のメリット

寄棟屋根の一番大きなメリットは、雨風や紫外線から外壁を守る能力が高いことです。
先に紹介差し上げた切妻屋根の場合、妻側に屋根が伸ばしにくいため、その面のガードがガラ空きになりがちでしたが、寄棟屋根では各面に対して屋根が伸ばせるので、外壁が劣化しにくいと言えます。
もう一つのメリットは、屋根の奥行き感にあります。
四方に屋根の面があることにより、どの角度から見ても屋根が多面的に感じられます。
建物を全体における屋根の存在感が大きくなるため、『こだわりの屋根』を演出したい場合に適した屋根形状と言えます。

寄棟屋根のデメリット

寄棟屋根の最も大きなデメリットは、棟の長さです。
寄棟屋根は、屋根の頂点部に位置し地面に対して平行に渡される大棟(おおむね)に加えて、屋根の流れに沿って渡される下り棟(さがりむね)を持っています。まれに、「寄棟屋根は雨漏りに強い!」と記載しているウェブ上の解説を見かけます。しかし、雨の侵入口として代表的な部位と言える棟が長い訳ですから、雨漏りに強い訳はありません。
寄棟屋根のもう一つのデメリットは初期費用のコストが高いことです。
まず、棟が長い分、その棟を支える支柱の数が増えます。また、屋根葺きの材料の長さが、面々あるいは同じ面でも位置によって大きく変化します。このことから材料費も加工・取り付けに掛かる人件費も切妻屋根より高くつきます。
また、屋根を多面にするということは、その面に落ちる雨水を受け止め排水する雨樋(あまどい)の掛け幅も比例するということに他なりません。寄棟屋根の採用を考えている方は、予めこの点をご承知置きいただいた方が良いと思います。
寄棟屋根のデメリットとして最後にもう一つ付け加えておきたいこととして、換気能力の低さがあります。
一般的に、屋根裏の換気は、屋根の軒先の裏側である軒天(のきてん)から空気を取り込み、屋根の大棟部から空気を出すという流れが理想とされています。その際、空気は垂木と垂木の間を通っていくのですが、下り棟のある寄棟屋根の場合、その下地に斜めの部材が通るために、通気が塞がれがちになります。通気が悪くなると内部結露が発生し、屋根がその躯体から蝕まれていくことになります。

方形屋根(ほうぎょうやね)

方形屋根のイラスト
方形屋根のイラスト
方形屋根は一般の住宅にはあまり見られない屋根の形です。
四角錐の形状をしていて、ピラミッド型と表現されることが多いです。

土地の区画などの理由から、建物が正方形に近い形になった際に採用されるケースがほとんどで、それ以外の場合あまり選択されることはないように思われます。

方形屋根のメリット

方形屋根のメリットは、寄棟屋根と同様に、建物の各面に対応する形で屋根面を配置できる点にあります。
屋根の軒の長さを全ての面に対して確保できるため、雨や太陽の光を遮断しやすくなり、建物の外壁を長く健康に保つのに適していると言えます。
方形屋根におけるメリットを敢えてもう一つ挙げるとすれば、比較的目立ちやすいという点です。
あまり街中で見かけない形であるがゆえに、人目を引きやすいです。店舗兼住宅のような建物だと、『目立ち』は重要な場合も多いのではないでしょうか。

方形屋根のデメリット

方形屋根のデメリットの一つ目は、寄棟屋根と同様に、棟が長いという点です。
棟が長いと通常は雨漏りが発生しやすくなります。方形屋根を採用予定の方は、雨漏りしてしまった時に慌てないよう、保険として信頼できる屋根屋を近くで見つけておくと良いでしょう。
方形屋根のもう一つのデメリットは、換気能力の著しい低さです。
方形屋根には大棟がないため、通気を取れるのが屋根の頂点しかありません。しかも、垂木と垂木の間の空気の流れを、下り棟の下地部が遮る構造になります。方形屋根を採用する際は、この換気能力の著しい低さを原因とした、内部結露への対策をどのように考えているかを設計士に予め確認しておく必要があるでしょう。

陸屋根(ろくやね)

陸屋根のイラスト
陸屋根のイラスト
陸屋根は、傾斜の無い屋根の形状を指します。『ろくやね』ではなく『りくやね』と呼ばれたり、水平屋根(すいへいやね)と呼ばれる場合もあります。

傾斜は無いと先に記載しましたが、実は傾斜がちょっとだけあり、この傾斜は雨水を流すために存在しています。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造とセットになる屋根形状であり、木造の建物で陸屋根を採用するケースはほぼ無いと言っても良いと思います。

陸屋根のメリット

陸屋根のメリットは、屋根上のスペースを利用しやすいことに尽きます。
太陽光パネルを設置しても良し、洗濯物を乾しても良し、家庭菜園を作っても良し、バーベキュー等のレクレーションに利用するも良し。もちろん目的に応じた防水や荷重計算を念頭に入れた設計をする必要がありますが、とにかく夢が広がります。

陸屋根のデメリット

陸屋根のデメリットは、とても雨漏りが発生しやすいということです。
その原因は、勾配の緩さゆえの水溜りと積雪の激しさです。防水処理を丁寧に施したとしても、いつの間にかどこかしらから雨が内部に入っていってしまいます。陸屋根は必ず雨漏りする、、とまでは言いませんが、採用をご検討の方は、将来的に雨漏りと向き合う覚悟をしておいた方が良いと思います。

入母屋屋根(いりもややね)

入母屋屋根のイラスト
入母屋屋根のイラスト
入母屋屋根は、切妻屋根と寄棟屋根のハイブリッドです。
寄棟屋根の大棟を一段高くして部分的に切妻屋根にしたような屋根形状となっています。

アジア以外ではお目にかかることができない形状であり、現代の日本においても比較的少数派の屋根と言えます。
昔ながらの由緒ある農家の屋根によく見られることもあり、格式高いイメージがあります。瓦が葺かれている場合が多いですが、銅板やガルバリウム鋼板などを葺いても中々に味わい深い見た目になります。

入母屋屋根のメリット

入母屋屋根の一番のメリットは、外壁保護能力と換気性能が両立できている点にあります。
屋根の先である軒先(のきさき)が雨風や太陽光を遮るため、外壁の経年劣化を最小限に食い止めることができるし、棟と住居スペースの間の空間も十分に確保できていることから空気の流れがスムーズになり内部結露を未然に防げます。このことだけでも入母屋屋根を採用する価値は十分にあると言えます。
入母屋屋根のもう一つのメリットを敢えて挙げるとすれば、その凝った見た目からくる格調高い雰囲気です。
和風限定という縛りの中であれば、もっとも高級感溢れる屋根の形状と言っても過言ではないです。

入母屋屋根のデメリット

入母屋屋根は、これまでに紹介した屋根の中で初期費用が最も高くなります。
なぜなら、軒先を四方に出すため木材はもとより、その上に一段高い大棟を取り付けるための木材まで必要になってくるからです。当然、それら木材を組む際にも、構造が複雑であるがゆえに時間とコストが掛かります。また大棟、下り棟に加えて外壁と屋根の取り合い部の防水処理も行う必要が出てくるためここにもお金を費やす必要が出てくるでしょう。
入母屋屋根は雨漏りにとても弱いです。
大棟、下り棟に加え、外壁との取り合いなど雨の侵入経路が他の屋根よりも多く存在しているからです。従って、入母屋屋根を維持しようとすると頻繁なメンテナンス・修理が必要不可欠で、長期的に見てコストがかなり掛かってしまいます。

片流れ屋根(かたながれやね)

片流れ屋根のイラスト
片流れ屋根のイラスト
片流れ屋根は、今回紹介した屋根の中で一番シンプルな形状を持っています。
切妻屋根をちょうど半裁したようなその佇まいは、ただモダンな印象を見る人に与えるだけでなく、多くの長所が詰まっています。

以下では、片流れ屋根のメリットとデメリットを紹介していきます。

片流れ屋根のメリット

片流れの屋根の一番のメリットは、その単純な構造から来る経済性にあります。
片流れを採用した場合、他の屋根に比べて、新築・増築時における材料費や工賃が大幅にカットできます。修理やメンテナンスの場合でも、問題の発生しうる部位が限られてくるため、手間がかからず、結果として費用を浮かせることができます。
片流れ屋根のメリットとして次に挙げておきたいのが、屋根からの雨漏りのしにくさです。
片流れ屋根はその構造上、屋根面の継ぎ目が存在しません。雨漏りの原因となりがちな、この継ぎ目が無いということは、屋根自体の雨仕舞いを考える上で、この上無い長所であると言えます。

片流れ屋根のデメリット

片流れ屋根のデメリットは、外壁が痛みやすいということです。
切妻屋根のそれよりも、雨風や太陽光に晒される外壁面積が大きく、その結果、屋根が無い面の屋根と外壁の取り合い部からの雨漏りも発生しやすくなっています。屋根からの雨漏りはほぼ無いにせよ、外壁絡みのリスクは予め想定しておいたほうが良いです。
片流れ屋根のもう一つのデメリットはその排水量にあります。
一面で受ける量が切妻の屋根と比べて倍になるため、受けた水を落とすための雨樋に大きな負担が掛かりやすく、屋根自体ではなく雨樋の修理・メンテナンスを定期的に行うことになる可能性があります。

結局どの屋根が一番良いの?

建坪、立地条件や風向き、日当たりなど、建物の置かれている諸条件によって、最適な屋根形状は変わってきます。然しながら、切妻屋根か片流れ屋根など、できるだけシンプルな形状の屋根を選ぶことで、驚くほど建物の寿命が変化します。デザインだけで屋根形状を決めると後悔しますよ。ホント。

カテゴリ

  • 屋根(1)
  • 外壁(0)
  • 雨樋(あまどい)(0)
  • その他(0)